おやすみ、先輩。また明日

宇佐美先輩の言葉がよみがえる。


そしてあれは、わたしを気遣っての言葉でもあったんだなと今更わかった。

わたしが傷つかないように、先に釘を差してくれたんだ。


正直、覚悟はしていたけどキツい。

でも現実から目を反らしていちゃ、逃げていちゃ、楽を選んでいちゃいけないんだよね。



わたしは自分の気持ちとしっかり向き合わなきゃいけない。



重たい足を引きずるように調理室へと向かうと、扉の前で山中さんと鉢合わせた。

山中さんも委員会で遅れてたんだ。



「山中さんも、委員会? 何委員だっけ?」


「保健委員。いいから、早く開けてよ」



清々しいまでの冷たさだ。


こうなるってわかっているのに、どうしてわたしは話しかけてしまうんだろう。

この期に及んでまだ仲良くなりたいなんて、考えてるのかなわたしは。

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