強迫性狂愛

目の前の男の人は、目を見開いた後


「…なんなんだ……お前…っ、」


驚愕している男の人に、にっこり微笑んだ。


「いたいの、いたいの、とんでけ―って、しただけですよ？」


何も返事をしない男の人を、少しだけ見つめて、ポンポンと履いていたスカートを軽く叩いて立ち上がる。


「体調、良くなったみたいですね。一人で帰れますか？」

「………」


何の一言も話さない男の人に苦笑しながら「じゃあ、失礼します」と踵を返した。



路地を出たその時



「待て」

「…なんですか？」


静かに振り返ると、先ほどまでしゃがみこんでいた男の人は、立ち上がって私を真っ直ぐ見つめていた。