強迫性狂愛
「駄目だ」
「え―――っ!どうして?」
迅が機嫌の良さうな日を見計らって夏休みに家に帰れるかどうかを聞いてみた、のに…
「どうして、ダメなの?」
「駄目なものは駄目だ」
「泊まらなくてもいいの、少しだけいいから…」
「………」
どうしてもお父さんとお母さんに会いたくて話してるのに、
寂しそうに向けられた視線に思わず、グッと言葉に詰まる。
「たまには、会いたい。どうしても…駄目?」
「…わかった。考えておく」
――…迅は、たまにひどく傷ついた表情(かお)をするときがあって
それが、どういう意味なのかはいまいちわからないけれど
眉間に皺を寄せたまま、捨てたられた子猫のような顔をされると…
正直言葉に詰まる。