強迫性狂愛
「誰なのか調べればすぐにわかるわよ?」

「いいよ、別に。相手の顔を知ったところでいいことなんてないと思うし」

「…そうね、はい上靴」


このことを知った紅は、毎日のように新しい上靴を持っていてくれる。

どうせなら上靴は持って帰りたいんだけど

帰りは迅がいつも一緒だから、そんな怪しいことはできないでいたら

紅が、毎日新しい上靴を準備してくれていた。


「紅がいてくれるから、平気だよ」

「当たり前でしょう?」


迷うことなく、その言葉をかけてくれる紅に思わず微笑んだ。


――…例え、それが義務感からくる、迅の命令だとしても


紅は決して裏切らない。


それだけが、この学園にいる私にとって、唯一の救いのような気がした。

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