強迫性狂愛
「今日は、チョコレートだったんだろ?うまかったか?」

「…なんで知ってるの?」


なんで……今日上履きにあったこと知ってるの?

私の疑問に答えないまま、海斗はそっと新しい英語の教科書を私の机の上に置いてくれた。


そのさりげない優しさに、唇を噛みながら涙を堪えた。



なんで知ってるのよ。


なんで、わかるのよ。


紅が話したんだろう、そんなことは容易に想像がついた。


だけど――…想像以上に嬉しくて。

迅が、私の手を握ったままなのも、ありえないくらい嬉しくて。

せっかく海斗が開いてくれた149ページは涙でシワクチャになってしまっていた。


そのことに、海斗は笑って「バカだなぁ」とまた新しい英語の教科書を差し出してくれた。

一体、何冊もっているのよ。

教科書…。


「ありがとう…」


そう言った言葉に、海斗は何も返事をしてこないまま黙ってて。


あぁ、海斗らしいな、なんて思ったんだ。

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