強迫性狂愛
砂時計
――…
「百花?」
「…あ、ごめん」
学校が終わって自宅に戻った後は、紅と一緒に勉強するのが日課になりつつあった。
慌てて気持ちを目の前の教科書とノートに戻してから、参考書を取り出そうと、本棚に行く途中ふいに鏡の前で立ち止まった。
………キス
キス…
キスキスキス……
ぶにっ、と自分の唇を押して
迅の唇、冷たかった…
あいつ、手も冷たいけど唇もつめた…
「って、ちがうよっ!!」
「…百花?」
思わず叫んでしまったことに慌てて、曖昧に笑いながら本棚の前まで駆け込んだ。