強迫性狂愛
――…そういえば、紅の唇って綺麗。


私の唇は子供みたいにぼてっとしてるけど、紅のはシュッと綺麗な唇。


「ねぇ、紅」

「なに?」

「あのさ、き、き…」

「き?」

「き…そう!庭にいっぱい木があるよね!あれって何の木?」

「……なによ、いきなり…あれは――」


私の言葉を真に受けた紅が、庭の木や花の説明をするのを聞きながら


私はずっと――


あの時触れた、迅の唇を思い出していた。

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