強迫性狂愛
ゆっくりと階段を昇って、自分の部屋へ向かう途中に紅が立っているのが見えた。


「百花」

「紅、待っててくれたの?」

「次は勉強でしょ?試験前の追い込みしないとね」

「ありがとう…。あ、これね、迅のお母さんからもらったの」


さっき手渡された、丁寧に包装された小箱を見せた。


「そうなの?よかったわね」

「うん、思ってたよりも優しそうな人で安心しちゃった」

「そうね…、昔はもうちょっと近寄りがたかったのだけどね」

「そうなの?」

「そう、昔の話よ」


曖昧に笑う紅に、違和感を覚えながら自室へ戻り、箱を開けてみると


綺麗な砂時計が入っていた。

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