強迫性狂愛
お風呂にも入らず、寝てしまったことで制服はシワクチャのまま。


なんで、誰も…起こしてくれなかったんだろう……


ふらふら、とおぼつかない足取りのまま部屋を出て、迷うことなく迅の部屋へと向かう。



そっと、扉を開けると


部屋の中は真っ暗で、迅がベッドに入っているのが見えた。



「………」



なんだ、


そっか。


一人で寝てるんだ。


………



「お風呂、入って寝ようかな」


独り言のように、小さく呟いて自分の部屋へと戻りお風呂にお湯を溜めていく。


いいんだよ。


これでやっと、安心して寝れるんだから。


今までがおかしかったんだよ?


そう。


絶対、そうだよ。


好きでもない人と一緒に寝るだなんて、変じゃない。



「……好きでも、ない人…」


ドライヤーで髪を乾かしながら、鏡の中にいる自分に向かって小さく言葉を零した。

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