強迫性狂愛
「―……あの、」


走り出した車の中は異様に静まりかえっていて、息が詰まる。


「なんだ」

「あの、どこに…」


そんなに悪い人にも思えないから、必死に落ち着かせて冷静に言葉を選んだ。


「家だ」

「家?あの、近いのでわざわざ送っていただかなくても」

「……俺の、家だ」

「…はい?」


私の素っ頓狂な言葉に、鋭く睨みを効かせてくる。


「お前の家のものは、全て俺に家に移動させた」

「……なんで?」


素朴な疑問だった。

一応会ったことはあるけれど、そんなことをされる理由が一体どこにあるっていうの?

何かの間違い、だよね?


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