強迫性狂愛
第4章

理由

空気はじわりと湿ったまま、日差しが容赦なくアスファルトを照りつけて蜃気楼がみえてくるこの季節。

百花と紅は、外の空気からは想像もできないような過ごし心地のいい、ひんやりとした空間にいた。


「夏休みももうすぐだね、紅は夏休みどうしてるの?」

「もちろん、お暇を頂いて実家に帰るわよ」

「そうなんだ、紅の実家ってどこにあるの?」

「ここの敷地内にあるけど」

「うそっ?」


初めて聞く話に驚いて聞き返した。

「どうしてそんなに驚いてるの?もう2ヶ月近くここに住んでるのに敷地内全部把握してない?」

「してるわけないよ…」


だって、ありえないくらい広いんだもん。

ちょっと歩いた先には、ハウスの中に見事な薔薇とか見たこともないような花が沢山あったり


庭には噴水まであるし、ただ眺めていることの方が多かったから。

まさか、紅の家がこの敷地内にあるなんて、思いもしなかった。
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