強迫性狂愛
――…なのに


「無駄ですよ。ロックがかかっていますから」


ひどく落ち着いている言葉は、頭を鈍器で殴られたみたいに響いた。


「……ゃ、だ…」


無意識のままに首を横に振る。


涙が溢れてくる。



バンッ!!と車のガラスを叩いた。


「やだっ!!降りる、降りたい!……ッヒ、おろしてぇ!!」


泣き叫ぶ私の声に驚いたのだろうか


「落ちつけ…」


何度も車の窓を叩く私の手を握ろうとする。


その仕草にさえ、腹が立った。
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