強迫性狂愛
「百花」

席に着いた途端に、迅が話しかけてきた。


「なに?」


迅の方に顔を向ければ


「帰るぞ」


そのまま、私の手を取って教室を後にした。



「迅っ?どうしたの?突然……っ!」


黙ったまま、廊下を突き進む迅に疑問だけが浮かびあがる。


何があったの?具合が悪いとか…


心配になって、迅、と声を掛けても返事をしてはくれなくて。

いつのまに呼んだのだろうか、校門の前にはいつもと同じ黒いベンツが横付けされていた。

私の疑問には答えてくれることなく、迅は私を車に押し込む。


「出せ」


静かに走り出した車内で、ただ呆然と瞳を閉じたまま眉間に皺を寄せた迅を黙って見つめていた。

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