強迫性狂愛
「私…、何も話聞いてなかった……」

何しに来たのかわかんないよ。これじゃ…

自分で自分の行為に呆れていると


「いいんだよ、特進は」

「何がですか?」


人ごみに流されそうになりながら、急いで十河くんの隣を歩いた。


「聞いてねぇの?特進はただ、観戦するだけ」

「……うそ」

「クッ…まじで聞いてねぇのな」


それって、参加する意味あるの?


「考えてもみろよ?特進のクラス10人くらいしかいねぇだろ?そんなんでチーム組むなんて無理なんだよ。今年の1年の特進なんて8人だし」


ま、他にも色々理由もあっけどさ、と軽いノリで話す彼の透き通るような金髪が小さく揺れるのを見ながら


「そうなんだ…」


たいした返事もできないまま、特進クラスに向かう廊下をただ歩いていた。

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