強迫性狂愛
優しい――…声が聞こえた。


「百花」


その声を聞くと、ひどく安心する。

その声を、言葉を聞いただけで心の中の不安が消えていく。

そんな魔法みたいな声を持つ人は――…


「――…迅…?」


ゆっくりと瞼を上げた先に見えたのは、私を見つめている迅だった。


「起きたのか」

「ん、寝てた…」


瞼を擦りながら起き上がろうとすると


「寝てていい」

「………」


その優しい声に、また眠り落ちそうになる。

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