強迫性狂愛
「…嘘だもん」


思い出しながら、シーツを掴んで小さく呟けば


「百花、髪を乾かそうか」


迅の細い指先が、するりと私の少し湿った髪をすくう。



『触れることで――』



ふいに、髪に触れたままの迅の手を取った。



「ねぇ、迅…」

「あぁ、今ドライヤーを」

「私に触れると…何か変わる?」

「………」


迅の眉間の皺がいつもよりも深くなった。

< 248 / 745 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop