強迫性狂愛
「あれ?今日病院に行くんじゃなかったの?」


ある土曜日の朝、いつもなら病院へ出かけていく迅が部屋にいることを不思議に思い問いかけた。


「最近調子がいいから」

「そうなんだ…あのね、聞きたいことあるんだけど…いいかな?」

「なんだ?」

「迅の、体調がいいのって…私が来てからなの?」


私の言葉に、迅が静かに振り返った。


「私が……陰華の巫女だから…迅は、私を引き取ったの?」


胸が、震える。


だけど…聞かなきゃ。


聞かないと……前に進めない。


私の言葉に、一瞬言葉を失った迅が、我を取り戻すと


「百花、その話を…誰から聞いた?」

「……本当なんだね」


思わず、目頭が熱くなる。


だからなにってわけじゃない。

この現状が変わるわけじゃない。

何の巫女だろうと、どんな力があろうと…そっちの方が合点がいく。

迅があの時私を――…欲しいと思ったのは、私が陰華の巫女だから。

――…そう、合点がいく。

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