強迫性狂愛
泣き続ける私をそっと、抱きしめてお母さんはゆっくりと、諭すような口調で話し始めた。


「よく聞いて。百花…」

「……うぅ…っ」

「あなたは、狙われてるの」

「………」


お母さんの言葉に、思わず顔を上げた。


「どういう、こと…?」

「それは……、」


お母さんは、一旦言葉を濁して私を抱きしめていた腕を解いて、ぽんぽんと頭を撫でてから家の中からあるものを持ってきた。


「これを持っていきなさい」

「……お母さん」


そう言って渡してくれたのは、私のピンクの携帯。

今日、忘れて行ったんだっけ…。

そんなことを思いながら、ゆっくりと手渡された携帯を握り締めた。
< 28 / 745 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop