強迫性狂愛
迅と一緒に外に出ると、11月に入っただけのことはあって、少しずつ風が冷たく感じ始めていた。


「いらっしゃいませ」


車に乗って行った先にあったのは、小さな珈琲のお店。


「し…、…」


可愛らしくイスの上に載せてあるお店の名前を読もうとすると


「ciel」

「しえる?」

「そう」

「そうなんだ。ciel、cielね!」


お店に入った途端に漂う香しい珈琲の匂いに思わず、ぎゅうっ、とお腹がなった。


「………」

「おいしいケーキもある。食べよう」

「…いいの?」

「あぁ」


迅と手を繋いだまま、カウンター席へ腰掛けた。

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