強迫性狂愛
そう言ったまま遠くを見つめるかのように、黙ってしまう迅になんて言葉をかけていいのかと迷う。


「お母さんとケーキを食べたの?」

「いや、俺は食べれなかったから」

「そうだったよね…」


小さい頃からこういう当たり前の甘いものさえ…迅は食べれなかったんだよね。

って…あれ?


「迅…今ケーキ食べたよね?…っ大丈夫なの?!」


慌てて迅のケーキのお皿を見れば、半分以上なくなっていて…


「迅っ!駄目だよっ」


慌てて、迅に声をかけると


「平気だ」

「だって…」

「百花のおかげで、ほとんど治ってる」

「そう、なの…?」

「俺が――…願っていたこと全て…お前が一つずつ叶えてくれるんだな」



そのまま――今まではろくに飲むことも許されなかった珈琲を味わうようにゆっくりと口に運んだ。

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