強迫性狂愛
「迅って意外に甘党なんだね」


感慨にふけっていると、隣で百花が嬉しそうに話出す。


「ずっと、食べれなかったからな」


人生初のケーキだ。


「じゃあ、今日は私のおごり、ね?」


頬にえくぼをのせたまま笑う百花に、胸が温かくなるのを感じながら


「あぁ…ありがとう」


珈琲を飲み込んだ。


――…そう言って素直にお礼を言う迅は、なんだか別人みたいでそわそわしてしまう。

このほんのりと甘い紅茶を飲みながら百花は、幸せを噛み締めていた。

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