強迫性狂愛
ゆっくりと扉の方を見ると


「こんにちは」


ふわふわの茶色い髪に、大きな瞳にキュッと上がった唇。

スラッと身長も高くて…私となんて、見比べることさえ恥ずかしかった。


「道浜様…明日お帰りのはずでは?」

「由香里、久しぶりね」

「…お久しぶりです」


紅が深々と頭を下げた。


「迅のお父様からご連絡があったの」

「お館様から?」

「そう。迅が陰華の巫女を手に入れた……ってね」

「………」

「あなたが…陰華の巫女?」


静かに私の側に歩いてくる、道浜様に思わず、後ずさった。

< 325 / 745 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop