強迫性狂愛
「いつものが、…いい……」

「いつも?」

「………」

「………」

「いつもみたいに…っ」



バッと顔を上げて放った言葉は――…



「俺の側にいろって言ってよ…っ」



その言葉だけで――…私は、ここにいる意味があるって思えるのだから。



搾り出すような大声と共に、百花は泣きながら俺の胸の中へと飛び込んできた。

どうして泣いているのか、いまいち掴めない俺は、艶々の黒髪を優しく撫でていた。


時折、しゃくり上げる背中を抱きしめて、瞳を閉じる。


――…中毒になりそうだ。


百花を抱きしめるだけで、この包まれるような、吸い込まれてしまうような…心も体も全て、溶けてしまうような心地いい感覚に。

< 339 / 745 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop