強迫性狂愛
「あ、迅だ」


功さんとどこかに行っていたのだろうか。

迅が教室に戻ってきたのを見つけて、席を立とうとすると


「迅っ!」


教室に明るい声が響いた。


「次、移動教室でしょう?一緒に行きましょう」

「あぁ、そうだったな」


迅の腕に手を絡ませて話をしながら、私の隣の迅の席へと2人が歩いてきた。


やだ……


何これ…、すごく惨めな気持ちになる…


クラス中のみんながヒソヒソと中途半端に席を立っている私を見ているのがわかる。

私は曖昧に髪を耳にかけながら、次の授業の教科書を持って、イスを引いた。

< 344 / 745 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop