強迫性狂愛
「あら、百花さんも一緒に行きましょう？」


ふわりと微笑む柚香さんに、「いえ…」と小声で断ろうとすると


「やだ、柚香様ってお心が広すぎるわ」

「さすが、道浜様よね。あの女って…ほんと目障り」


聞こえてくる声に、思わず言葉を失った。

迅が一度沈めてくれた周りからの非難の声も、柚香さんが来たことで再び非難されるようになってしまったようだった。



――…そうだよね、婚約者さんなんだもん。


外側からみたら、私は…ただの…邪魔者にしか見えないよね。


っていうか、実際…邪魔者なのかも…


零れそうになる涙を堪えて、必死で笑顔をつくった。



「私、数学の課題出し忘れてて…それ出してから行きますから」

「そうなの？じゃあ、先に行ってるわね」

「百花、一緒に行こう」



そう優しく迅が声をかけてくれることも今は、ただ辛く、惨めになるだけだった。

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