強迫性狂愛
「やだ、迅ってば。いつもそうやって一緒にいたの?」


柚香さんの失笑めいた言葉に余計に…みじめになるだけでしかなかった。

柚香さんに、クラス中の視線が…針のように突き刺さって、苦しくて耐えられなくなりそうだった。


「百花…」

「授業に遅れちゃうから、先に行ってるねっ」


咄嗟に迅の言葉を遮って、逃げ出すように教室を駆け出すと


「自分の立場わきまえなさいよ」


クラスの女子から、非難の声を浴びせられた。


こんな言葉、なんてことない。


辛くなんてない。


迅の側にいれれば、辛くなんて…


迅の側に――…いつまで、いれるっていうの……?


これから先、どのくらい一緒にいれるんだろう。


柚香さんの言うように、迅と柚香さんが結婚した先も…同じ屋根の下で愛人のように身を差し出すって言うの?

< 346 / 745 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop