強迫性狂愛
「えっと、今日は…カモミールティーで」
ここに迅と来るのは2回目。相変わらず、静かでクラシックが流れている店内は、なんていうか心が和らぐ。
「ケーキは?」
「え?ケーキもいいの?」
「あぁ、頼め」
「嬉しい!じゃあ、えーっと…」
決して数が多いとはいえないケーキの種類から、こないだのショートケーキとは違う季節のタルトを注文した。
「迅は、相変わらずショートケーキなんだね」
「そうだな」
「イチゴが好きなの?」
「さぁな」
「ふぅん。でも、なんかあるよね。理由なんてないけど好きだなぁって思うもの」
「…そうか」
ちらり、と迅の横顔を見つめて
理由もないのに、好き。
それは、私にとって迅なんだよ。
理由なんて、探したって見つからない。
好きなものは、好き…。
百花は、運ばれてきた紅茶の香りに微笑みながら――…
隣で眠たそうに瞳を閉じて珈琲を飲む迅の横顔を見つめていた。