強迫性狂愛
「……なんか、いつもより見られてるっていうか、みんな浮き足だってるっていうか」

「気のせいじゃない?」


小首を傾げる紅に、自分の自意識過剰なのかと思いなおして、教室へ向かった。


けれど、扉を開けて教室に入った瞬間に、さっきの違和感は間違えではなかったのだと思い直す。


ひそひそと聞こえてくる正体不明の、私への視線。

それは、決して気持ちのいいものではなく。

明らかに…敵意を感じた。


なんとなく、クラスメイトの視線を感じながら、席へつくと


「そこって、柚香さまの席であるべきよね」

「ほんと、どんな手を使ったのか知らないけど、まだ黒澤様に縋り付いているつもりなのかしら」


それは、明らかに私に向けて放った言葉であって、

聞こえるように、私に対して敵意をあらわにした言葉だった。

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