強迫性狂愛
紅より先に、校舎を飛び出すと


「百花」


呼びかけられる声に振り返ると


「十河くん!」

「かける」

「あ…っと、翔くん、どうしたの?」

「いや、急いで教室飛び出して行ったから、どうしたのかと思って」

「帰るとこだよ?」

「あの紅とかいう奴と一緒じゃないのか?」

「あぁ、紅は今日先生に呼ばれて遅くなるって言うから、私一人で先に帰ろうかと思って」

「一人で?」

「うん、何か変だった?」

「俺の車に乗れよ。送ってってやる」

「いいよ!大丈夫だから」

「黒澤に早く会いたいんだろ?」

「……っ、」

「百花、わかりやすすぎ」


フッ、と目を細めて少しだけ白い歯を見せる翔くんは、お世辞抜きでかっこよかった。

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