強迫性狂愛

不可解

「え?柚香さんの家まで送りにいくの?」

「あぁ、悪いな。夜には戻るから」


すぐに戻ってきた迅は、眉間に皺を寄せながら、コートを手に取った。


いやだ


行かないで


そんな言葉は、決して口にすることなんてできるはずもなくて。


「ん、わかった…。気をつけてね」

「悪いな、行くぞ。功」

「了解。百花ちゃん、明日学校でね」

「はい、また明日」


なんとなく、功さんが迅と一緒にいることが、ほんの少しだけど…安心した。

2人きりだってわかったら、どうしようもなく、悲しくて、嫉妬せざるをえなくなるから…。

2人が出て行った扉を見つめたまま――…百花は深いため息を零した。

< 387 / 745 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop