強迫性狂愛

「――…百花っ」


「あ、ごめん…」


「大丈夫?なんだか顔色が悪いけど…」



心配そうに顔を覗き込む紅に、私はただ「大丈夫だよ」と笑うことしかできなかった。



「行こう、紅」


「百花、一応保健室に行ったほうがいいじゃない?」


「平気。たいして、血も出てないもん。後で絆創膏貼っておくから」


「無理しないで…」



本当に、心配してくれる紅の気持ちが伝わってくる。


…堪えていた涙が溢れ出してしまいそうだった。


ここで泣きたい気持ちになる。


だけど――…後ろから聞こえてくる2人の声から逃げるように、教室へと急いだ。
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