強迫性狂愛
教室で、カバンから取り出した絆創膏を貼っていると迅と柚香さんが入ってくるのが見えた。


決して顔を上げないで、ただ俯いていた。


傍に、紅がいてくれたことが…唯一の救いだった。



「おはよう、百花さん」


「――…おはようございます。道浜様」



私の変わり、と言わんばかりに紅が挨拶をする。


隣の席へと向かう、迅の匂いがふわりと漂う。


いつもの嗅ぎなれた匂いの中に…


なんとなく、花の匂いが漂う。


それはきっと――…



ガタンッ



「紅、保健室行こうっ」



咄嗟に、紅の腕を掴んでいた。
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