強迫性狂愛
腕を強く握りすぎたのだろうか、紅が驚いたかのように私の顔を覗き込む。



「百花、やっぱり痛いの?大丈夫?」


「ん、一緒に…」


「――…百花、どうした?」



隣の席から、聞こえてくる迅の声に思わず涙が溢れた。


昨日からずっと、聞きたかった声。


傍にいて欲しかった。


だけど――…今、聞くのは…辛すぎるよ……



「たいしたことじゃないから…」



迅の顔をろくに見れないまま、紅と教室を後にした。
< 394 / 745 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop