強迫性狂愛
――…
「――…はぁ」
一人残された保健室で紅は、深いため息を零した。
百花……辛いはずよね。
黒澤様は本当に婚約してしまったのかしら…、どうしてそんなこと……
一人、思い悩んでいると
ガラガラッ
保健室の扉が開くのが聞こえた。
「あれ?百花ー…」
「……海斗」
「ゆかりん?」
目的の人物がいないことに戸惑う海斗をよそに、紅は
「百花なら、早退したわよ」
あっけらかんと、言葉を告げた。