強迫性狂愛
「やっぱりどこか悪かったのか?」


「別に、平気よ」


「…迅が心配してからよ」


「そうなの?ならどうして海斗が来たの?黒澤様が来ればよかったのに」


「仕方ねぇだろ。…状況を考えたらわかるだろ」


「……柚香が何だって言うのよ?」


「お前ってほんと、冷たい奴だよな」



海斗の言葉に、紅はため息を零して小さく笑った。



「……そうね」


「…んで、笑うんだよ?」


「変わってないな、と思って」


「………」


「ゆかりん、だなんて…周りを気にして呼ぶことないのに」


「あ?」



紅は、一つ息を零して、意を決したかのように目の前にいる海斗を見つめた。



「気持ち悪いのよ。そうやってみんなの前では取り繕う海斗の姿って」


「言うじゃねぇかよ…」


「…教室に戻る」


「なんだよ、突然。俺のせいかよ?」


「…海斗と話してると、疲れるの。何を言っても海斗は絶対わかってくれないから」



帰るわ、と海斗の横を通り過ぎようとした時


グッと腕を掴まれた。

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