強迫性狂愛
「いつまで、昔のことにこだわってるの?」


「昔?俺は…お前のせいで…」


「私のせい?…人のせいにすれば、楽だものね。そうよ、私が悪かったのよ。ずっと、そういうことになっているじゃなない」



話すことも嫌気がさして、保健室を出ようとすれば、パシッと腕を掴まれた。



「……なぁ、由香里…」

「やめて」

「え?」

「由香里だなんて、今更やめてよ……っ!!」



ハァ、と乱れる呼吸を整えながら海斗を見上げた。



「もう、終わったことじゃない…苦しいの。あの時は、そうよ。私が逃がしたのよ」



一瞬、お館様の顔が浮かんだ。


けれど、言葉を止めることなんてできなかった。



「………」


「………」


「……俺…由香里があんなこと…」


「したから、あんなことになったんじゃない」


「…けど、俺は……ずっと思って…」


「もういいって…言ってるじゃない。どうせ昔のこと…4年も前のことよ?……もういいじゃない。どうでもいい…」



そっと、海斗に掴まれた腕を外した。
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