強迫性狂愛
それから紅は、ふわりと笑って


「海斗が大切にしていたあの雛鳥は私が逃がした。……もう、それでいいじゃない」



――…お館さまには、取り戻せと言われた。


そう強く願っていたこともある。


だけど……実際に、私のことを理解していない海斗に向かっていく強さなんて今の私には、一欠けらも残っていなかった。



「………」


「まだ、何かあるの?」


「なんで…っ、俺にそんなこと言うんだよ…っ!」


「………」



ハァ…、と息を荒くしたまま、紅にすごんでいく海斗に紅は、慌てて後ずさると保健室の壁に激突してしまった。
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