強迫性狂愛
「いた…っ」


「怪我した時…」



壁にぶつかった衝撃で動揺した途端に追い詰められて、否応にも海斗との距離が近づく。


さらりと、紅の肩に触れる海斗の手の温もりに、思わず涙が出そうになった。



「海…っ」



4年ぶりに感じる海斗の温もりに心臓が跳ね上がっていくのがわかる。



「いつだって……俺のこと理解していてくれたお前が…どうして俺があんなに大事にしてた雛鳥を、わざと逃がすことができるんだよ……」



悔しそうに眉を顰める海斗から思わず、視線を逸らした。



「……それは、」


「――…お前は、俺に何も言ってくれねぇんだな」


「え……?」


「俺が、何も知らないとでも思ってんのか…?」



泣き出しそうな海斗の顔に、胸が痛んだ。
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