強迫性狂愛
静かに、2人で瞳もそらすこともできないくらいに、見詰め合った。

それは、とても気持ちのいいものではなくて。

ひどく…恐くて。


「俺は…やっと、見つけたんだ」


スッと視線を落とせば、目の前の黒澤迅の腕は震えていた。


「あ、あの…」


思わず、自分が悪いような気がしてくる。

そんな悲しそうにしないで。

悲しいのは、私のほう。

家族と離されて…悲しいのは―…


「離したりなんてしない」


力強い言葉と視線に、グッと息を呑む。


「やっと見つけたんだ」


どこに視線を合わせていいのかわからなくて、俯く私を黒澤迅は、


ゆっくりと…


自分の胸に私を抱き寄せた。


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