強迫性狂愛
「なにも一生会わせないとは言っていない」

「………」

「なんだ」

「そんなの…聞いてないもの」

「そうか」

「…食べる」

「わかった、待っていろ」


そのまま、黒澤迅は部屋を出て行ってすぐに、夕ご飯の準備がされ始めた。


温かく、おいしそうな匂いに


ぐ…ぅぅ――…



静かな部屋に響き渡る私のお腹の音。



「………」



恥ずかしくて、思わず両手で顔を覆った。


「準備が整いました。百花さま」

「紅さん…」


紅さんの顔を見れば、ばっちりお腹の音が聞こえたんだろう。

朝とは違う笑顔で、私を見ていた。


「百花、意地を張っていても腹の虫のたしにしかならない」

「……っ!」


部屋にいないと思っていた黒澤迅にまで聞こえていたという痴態に、一瞬にして顔が赤くなる。
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