強迫性狂愛
何度か胃液が上がってくるのを必死で堪えていると



「百花、横になっていいから」


「ん……っ、」



こみ上げてくる吐き気に、うっすら浮かんだ涙を堪えながら…翔くんの膝に頭を預けた。



「こうしてると、平気?」


「ん、大分、楽になる、よ…」



落ち着かない胃を擦りながら――…黒澤家までの道のりを走った。



「玄関まで送る」


「でも…」



いつもなら門のところで見送る翔くんが、今日は私の体が心配だからと玄関まで送ると言って聞かなかった。



「じゃあ、お願いします…」



そう言って、翔くんと門を開こうとすると


向こうから、車のライトが近づいてきたのが見えた。
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