強迫性狂愛
「――…はぁ…」
迅が帰ってきてくれたのは、すごく嬉しいはずなのに。
どうしてなんだろう。
恐くて――…話しかけることができない。
百花が部屋に戻ると、迅が百花のベッドの上に腰掛けていた。
何かあったのかと駆け寄ったものの、ものすごく不機嫌そうで、話しかけてはいけないような気がして……少しだけ距離を置いた、鏡台の前のイスに腰掛けた。
そろそろ、お風呂に入って寝たいんだけどな…
迅、どうしたらいいんだろう。
「迅…?あのね、私、そろそろお風呂に…」
「――あいつと会っていたのか」
「え…?あいつって……翔君?」
「――…名前で、呼び合う仲だったのか?」
そう言って、やっと顔を上げた迅の表情は、ひどく傷ついたような顔をしていて…
まるで、私が悪いことをしているように感じた。