強迫性狂愛
「じ、ん……?」
恐る恐る、顔を上げて迅の頭に震える手を伸ばすと
「俺が、恐い…?」
「…っ、ちが…違う!」
掠れた声に、ハッとして慌ててさっきの自分の言葉を否定した。
「な、何も…言ってくれない迅が、ただ……恐かっただけなの…」
そう。
なにも言葉を言ってくれないから…恐く感じただけ。
お願い、迅……何か話して。
怒っている理由はなんなの?
柚香さんと今の今まで一緒にいたのに、どうしてそんなに不機嫌なの?
そこまで自分で考えて、ハッと気付いてしまった。
「――…明日終わったらまた柚香さんに会えるんだから…そんなに私に八つ当たりしなくても」
自分の中で迅が不機嫌なのは、せっかく一緒にいた柚香さんと離れてしまったからだと思い、自分の気持ちを隠したまま努めて明るく話した。