強迫性狂愛
「柚香?」
迅は、僅かに眉をピクリと動かして婚約者の名前を呼んだ。
その小さな行為にでさえ、傷ついてしまう、どうしようもない自分に失笑してしまう。
「迅、あのね…私、お風呂に―」
「柚香は関係ない」
「え?」
「お前と柚香は関係ないだろう。どうしてそんなことを言うんだ?」
「ご、ごめん…」
まるで、自分達のことに口を出すなと言われたようだった。
もう、何も言っても自分が悲しくなるだけだと思った。
もう、どうしていいかなんて……自分でもわからなくなっていた。