強迫性狂愛
驚いたまま、固まっている百花に翔は話を続けた。



「陰華の巫女は、妊娠すると力が著しく低下する巫女もいるんだ。子供を守るために」


「………」


「―…出産をして、元通りの力に戻る巫女もいれば、そのまま力のなくなる巫女もいる。時には、すげぇ力に変わる巫女もいる。個人差があるんだよ。なんでかは知らねぇけど」


「………」


「なぁ、百花…」


「私…、本当に陰華の巫女かなんて、知らないもん…」



ポツリと、小さく零した。



「まだ、そんなこと言ってんのかよ。百花は…」


「だって!そんなの…知らない。わからない……一体どこに陰華の巫女だっていう証拠があるの?」



矢継ぎ早にありのままの感情をぶつけながら――…百花は、目の前のテーブルに腰掛ける翔を強く見つめた。
< 458 / 745 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop