強迫性狂愛
「幸せだな…」


年甲斐もなくスキップをしながら、近所の八百屋さんへと向かう。




――…この日が、



まさかこのたわいもない一日が、私の運命を変えることになるなんて、この時は想像もしてなかった。





「こんにちは!おじさん!」


八百屋に着いて、ひょこっと頭を下げて顔なじみのおじさんに挨拶をする。


「よお!ももちゃん!今日はなんだい?」

「ふふ。あのね、お母さんってば、かぼちゃとトマト買い忘れたんだって」

「そうかい、そうかい。待っててな。おいしそうなの持ってきてやるから」

「ありがとう。おじさん」


都会から少しだけ離れていた、田舎だからだと思う。

近所の人たちは、みんな…家族みたいに優しい。


「はいよ!ももちゃん」

「あれ?こんなに頼んでないよ?」

「いいんだよ、サービス、サービス!」


そう言ってニカッと歯を見せて笑うおじさんに、思わず私まで微笑んだ。
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