強迫性狂愛
「なに…?」
何のことかわからない、とでも取れる迅の口調に紅は
「百花は、お昼過ぎに黒澤様に会うのだと、幸せそうに出て行きました。…それを知っていて、今日は道浜様と一緒にいらっしゃったのですか?だとしたら…」
少しひどすぎるのではないのか、と言おうとしたその口は、思いがけない迅の言葉によって封じ込められた。
「そんな約束はしていない」
「…でもっ、……じゃあ、百花はどうして…」
「紅」
「はい」
「今日は、百花の傍で休む。柚香から何か連絡があっても取り次ぐな」
「…あの…、」
「なんだ」
颯爽と、百花の部屋の扉に手をかける迅に、紅は不思議そうに話しかける。