強迫性狂愛

――…



「本当に大丈夫なの?」


「平気だよ、心配しすぎだよ。紅ってば」


「昨日の帰ってきた状態を見ていたら、誰だって心配するわよ!」


「……ごめん、」


「――…もう、何があったのか、帰ってきたらじっくり聞くから。ほら、黒澤様がお出迎えよ」



ポン、と背中を叩かれて部屋の向こうを見ると迅が鞄を持ったまま、瞳を閉じたまま立っているのが見えた。



「迅、」


「…行こう」



そのまま、私の手を握って歩き出す迅に、ツン…と鼻が痛くなる。


今朝、起きたら…迅は私の手を握ったまま傍にいてくれた。
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