強迫性狂愛
久しぶりの迅と2人きりの登校は、ひどく心地よくて。


吐き気も我慢することなく、学園に登校することができた。



「迅っ!」



昇降口で、駆け寄ってくる柚香さんの姿に胸がツキン、と痛む。


だけど――…



「迅、私…職員室に用事あるから、先行くね」



痛んで、悲しむ資格なんて私にはないんだから、と何度も言い聞かせて、柚香さんと顔を合わせないまま、駆け足で教室とは反対方向に向かった。


迅が私を呼ぶ声が聞こえた気がしたけれど、聞こえない振りをした。


辛いんだよ…


ねぇ、迅、私…つらいよ…



「は…っ、はぁ……っ」



さっきから止まらない胸の痛みと、急に走ったからか、息が苦しくなり、思わず誰もいない廊下の壁にもたれかかった。
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