強迫性狂愛
一瞬にして、体中が震え上がった。


お腹が…生理痛の時のみたいに―…、鈍く痛い…。



「は……、ぁ…」



さっきまでの迅に会いたくないだなんていう浅はかな考えはどこかへ消え、湧き上がってくるのは恐怖と不安ばかりで。


ガタガタ、と震え始める自分の体をギュッ…と抱きしめて、動こうとしない手に力を込めて


階段の手すりに、掴まりふらふらと立ち上がった。


それでも、鈍い痛みが消えることはなくて―…


それどころか、増すのは、背中を伝う冷や汗ばかりで…


どうしようもなく、不安と恐怖に駆られていたその時だった。



「百花?」



聞こえてきた声に、涙が零れた。
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